対中国ビジネスモデルの成功例が、ソン・ジュンギとソン・ヘギョ主演の「太陽の末裔」(16年)だ。聯合ニュースによると、中国の大手動画サイト愛奇芸(アイチーイー)が1話25万ドルで独占配信権を購入。映画を手掛ける韓国の制作会社がチャイナマネーを追い風に、紛争地に派遣された軍人と女医のラブストーリーをギリシャロケの壮大な風景とともに映像化。韓国放送時には最高視聴率38.8%(ニールセンコリア調べ・全国)、中国では累計再生回数22億回突破という数字をたたき出した。

「従来のように、撮影した翌日に放送というあわただしい方法ではなく、事前制作での成功は、韓国ドラマにおいて革命的ともいえる」(前出のペ・ギョンス氏)

 では、次なるトレンドは、どこへ向かっているのか。

 複数の業界関係者が挙げたのが、パソコンやスマホでの視聴用に制作されるウェブドラマだ。1話あたり5分から30分。東方神起のユンホやEXOのメンバーなど人気スターが出演している理由を東亜放送芸術大学のキム・ホンシク教授は分析する。

「収益モデルとしては、まだ実験段階。だが、多忙なスターにとっては撮影の負担が少なく、プロモーションビデオ感覚で演技の経験を積むことができることが利点」
 ドラマは時代を映す鏡。韓国ドラマは社会やビジネス構造を投影させながら、まさにドラマチックな進化を遂げている。(ライター・桑畑優香)

AERA 2016年6月20日号