「宗教とは文化であり、歴史であり、アイデンティティーです。現地の言葉で学ぶことで、理解が深まります」

 もともと聖書に興味があったという浅野けやきさん(25)は、いま2年生。高校卒業後、別のキリスト教系大学で学んだが、「より幅広く学びたい」と同志社に入学し直した。専任教授16人に囲まれて、

「先生との距離が近いことが最大の魅力。充実しています」

 と話す。必修科目が「神学入門」だけというのも大きな特徴。言語もヘブライ語だけではなく、ギリシャ語、アラビア語などから幅広く選択できる。

●オウムきっかけに受験

 俳優や脚本家として活躍する永野宗典さん(38)は、1997年に神学部に入学した。受験勉強を始めようとした高校生の頃、オウム真理教の事件が発生。

「『神様を信じる』とは何だろう?と考え込みました。宗教に興味がわいて、あれこれ調べた結果、自由な雰囲気にも惹かれて受験を決めました」

 必修科目が少ないため、キリスト教の歴史から演劇系の授業まで、自分の興味があることを深く広く学ぶことができる環境だったという。

 過激派組織「イスラム国」(IS)ともパイプを持つことで知られるイスラム法学者の中田考氏も、11年までここで教授を務めていた。卒業生の進路は一般企業から牧師までさまざまだが、宗教と宗教の橋渡し役となり、紛争などを解決できる人材の育成も期待されている。

(編集部・古田真梨子)

【基礎DATA】
所在地:京都市上京区
開設:1875年
定員:60人
初年度納付金:115万2000円
就職先:日本郵便、国家公務員総合職、京都市、積水ハウス、池田泉州銀行、東京海上日動火災、富士通ほか
著名な卒業生:小川和久(軍事アナリスト)、佐藤優(作家・元外務省主任分析官)
※基礎データはすべて、『2017年版大学ランキング』、各大学の公式サイトなどから

AERA 2016年6月6日号