「ただ、音楽で圧倒すれば、ファンも自然と距離をとるようになる。そこまでいかなくても、明確な意思を持って、ファンとの交流をやらない子もいます」

 前出の吉田さんは言う。

「地下SSWだけが危ない、という話もおかしいでしょう」

 確かにそうだ。写真家やイラストレーターなど、リスクは接触できる場所が事前にソーシャルメディアでわかる活動すべてに該当する。この事件は現代社会を生きる人誰もが遭遇し得る「ストーカー事件」なのだ。

 冨田さんと家族は、5月に入った段階で岩埼容疑者のサイバーストーキングを相談していたが、警察は動かなかった。

「SNSでのストーキングは対象外」という法の未整備があったからだ。だが、もうそんな時代ではない。

「やばい人に目をつけられたら、もうおしまい。この問題こそ、なんとかしなくては」(吉田さん)

(編集部・岡本俊浩)

AERA 2016年6月6日号