どんなにマイナーなアイドルでも、グッズ販売で収益があがるため、マネージャーやスタッフを雇うことができ、防護壁にもなる。ソーシャルメディア上でもリプライはしない。しても1回まで、というルールを敷く例もある。

 だが、冨田さんのいた地下SSWの世界は、近年の「ギター女子」ブームにも後押しされ出てきた、新しい潮流。客の数も少ないから、マネージャーも雇えない。事務所に入るのもハードルが高い。

「リスクの度合いでいえば、SSWの方が高い」(吉田さん)

●ストーカー対策現代化が急務

 地下SSWの世界の実態はどうなのか。アマチュア女性SSWが出演するイベント主催者の男性によれば、主なファン層は40~50代の男性で、10~20代女性の演奏を聴きに来るという。むろん、ほとんどのファンはおとなしい。

「50人も入ればいっぱいのライブハウスでやっていて、単独(ライブ)ができる子は多くない。ファン対応も、一人でやる子がほとんど」(主催者)

 本人ブログを見ると、冨田さんはチケット予約などの業務をソーシャルメディアを通じてやっていた。女性SSWは一人で歌うことが多く、オーディエンスも個人が多い。アイドルオタのように、大集団の一体感は薄い。そこでは、個人と個人が対峙しがちだ。

 男性はこうも続けた。

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