日大芸術学部 「看板学部」の源は異なる才能のぶつかりあい (2/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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日大芸術学部 「看板学部」の源は異なる才能のぶつかりあい

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編集部・古田真梨子AERA#大学入試#教育
美術学科の絵画コースでは、学生が作品作りに没頭していた(撮影/家老芳美)

美術学科の絵画コースでは、学生が作品作りに没頭していた(撮影/家老芳美)

同科彫刻コースには、静謐で独特の空気が流れる(撮影/家老芳美)

同科彫刻コースには、静謐で独特の空気が流れる(撮影/家老芳美)

250人収容の「中ホール」。演劇学科の舞台発表のほか、音響や照明の実習にも使われる(撮影/家老芳美)

250人収容の「中ホール」。演劇学科の舞台発表のほか、音響や照明の実習にも使われる(撮影/家老芳美)

「すごい学校に来たな、と思いました(笑)。一番面白かった授業は、実技ではなく、座学の『メディア論』。ジャーナリズムや放送の歴史について学んだことは、今でも仕事に生きている。他の芸術専門大学とは違い、どこかアウトサイダーで、ど真ん中ではない雰囲気が好きでした」

 卒業から約30年。時々、芸術学部出身者に出会うことがある。

「気恥ずかしいですよ。同じ学部だとわかっても、後輩の面倒はみないですし(笑)。学生時代からずっと、我々は独立したフリーの集まりみたいなものだったと思います」(小山さん)

●私たちはニチゲイ出身

 互いを尊重し、才能を認め合う雰囲気はいまも変わらない。「蛾(ガ)」をモチーフに石を彫っていても、緑色が大好きという理由でTシャツも下着もネイルもすべて緑色にしてカエルの絵を描いていてもいい。演劇学科の「生きる」をテーマにした演劇を創る過程では、互いの日常を包み隠さず話し、一人一人の人生を肯定しながら作品を編み出していく。

 美術学科の鞍掛(くらかけ)純一教授(彫刻)らは、新潟県十日町市と津南町で開かれる現代アートのイベント「大地の芸術祭」への出品を機に、現地との交流を続け、空き家を改修したり、農作業やアート制作などの体験講座を開いたりしている。

 学ぶ分野は幅広く、豊かな個性が自然と育つ。40年近くにわたって、芸術学部で学生を指導してきた映画学科の宮澤誠一教授(映画演出)はこう願う。

「食えないのがわかっている世界です。それでも、入学してくる学生たちですから、授業では非常に積極的。才能を磨きつつ、個性も大事にしてほしい」

 取材で出会ったすべての学生は自らを、「日大の○○」ではなく「日芸(ニチゲイ)の○○」と名乗った。

 プライドを秘めた、カッコいい集団だった。(編集部・古田真梨子)

【基礎DATA】
所在地:東京都練馬区、埼玉県所沢市
開設:1921年
定員:840人
初年度納付金:176万~186万円
就職先:博報堂プロダクツ、イマジカデジタルスケープ、劇団四季、アート・ステージライティング・グループほか
著名な卒業生:宮藤官九郎(脚本家)、爆笑問題(タレント)、三谷幸喜(脚本家)、本仮屋ユイカ(俳優)、吉本ばなな(小説家)
※基礎データはすべて、『2017年版大学ランキング』、各大学の公式サイトなどから

AERA 2016年6月6日号


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