AI技術の発達は、将来的に人間の脅威になる?(※イメージ)
AI技術の発達は、将来的に人間の脅威になる?(※イメージ)

 AI技術の発達は、将来的に人間の脅威になるのでは……というのは、少し前から巻き起こっている議論だ。実際にAIと対峙している技術者は、これをどう考えているのか。理研の計算機科学者・高橋恒一さん(42)に聞いた。

「技術的特異点に、いまから備えておくことが重要だ」

 理化学研究所の高橋もこう訴える。高橋自身、特異点に「備える」ことをやっている数少ない研究者だ。

 AIが主導する新たな「産業革命」は、世界に劇的なインパクトをもたらす可能性が十分ある。その一つが「先進国で入れ替え戦が起きるかもしれない」ことだと高橋は考えているのだ。

 日本は生き残れるのか。高橋は最新の動向を集め、数多くの研究者と情報交換を続けている。副代表を務めるNPO「全脳アーキテクチャ・イニシアティブ」はそんな場の一つ。新たなAIソフトウェア開発を模索するだけでなく、外部プログラマーが参加可能なハッカソンも開き、オープンなAI開発を国際的に促す。

 個人としても、生命科学実験をロボットで自動化できないかと取り組んでいる。参加する国産ベンチャー「ロボティック・バイオロジー・インスティテュート」は、これまで人間が担ってきた大量の試験管の攪拌作業を、多数のロボットに同時に行わせることで、実験のスピードアップをもくろんでいる。

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