住商ブランドマネジメント「伝統受け継ぐブランド愛」住商ブランドマネジメント 広報マーケティング室マネジャー 吉野陽子(38)撮影/写真部・外山俊樹
住商ブランドマネジメント
「伝統受け継ぐブランド愛」

住商ブランドマネジメント 広報マーケティング室
マネジャー 吉野陽子(38)
撮影/写真部・外山俊樹

 アエラにて好評連載中の「ニッポンの課長」。

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 現場を駆けずりまわって、マネジメントもやる。部下と上司の間に立って、仕事をやりとげる。それが「課長」だ。

 あの企業の課長はどんな現場で、何に取り組んでいるのか。彼らの現場を取材をした。

 今回は住商ブランドマネジメントの「ニッポンの課長」を紹介する。

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■住商ブランドマネジメント 広報マーケティング室 マネジャー 吉野陽子(38)

 70年近く続くドイツの伝統工芸、シュニール織によるライフスタイルブランド「フェイラー」。職人が約半年かけ、何十もの工程を経て織り上げるタオルなどの製品は、「生活の中の芸術品」と評され、ソフトな肌触りと豊富な柄が特徴だ。

 フェイラーを日本に紹介したモンリーブを2004年に傘下に収め、日本での販売を引き継いだ住友商事グループの住商ブランドマネジメントは、若い世代にもアピールすべく、2年前からリブランディングに取り組む。約10人のチームのまとめ役が、吉野陽子だ。

 めざすは母娘孫、3世代に愛される商品だ。14年には外部からクリエイティブディレクターを迎え、ドイツ語で「愛」を意味する「Liebeくん」というクマのキャラクターを作った。15年4月に直営の銀座店をオープンさせると、30~40代女性で連日にぎわい、プロジェクトは実を結びつつある。

「各社員がブランドに対してそれぞれの考え、愛情を持っています。“ここは変革すべき”“変えずに守るべき”といったみんなの意見を吸い上げて形にするには、思った以上の労力が必要でした。ようやくみんなの向く方向がひとつになったと思う」

 そう語る吉野自身、ブランドへの愛は並々ならぬものがある。文教大学卒業後、コーヒー輸入会社を経て、02年に入社。そこから「ハマった」というフェイラーのハンカチコレクションは400枚を超える。結婚して10年になる夫も、ファンになった。

「100年後もフェイラーが続くよう、つなげていきたい」

 社内で目標を問われれば、必ずこう答える。安いものを使い捨てにするのが当たり前のような時代だが、「上質なものは愛され続ける」と自信をもって語る。

「私以上にフェイラーを愛するお客様がたくさんいらっしゃる。気持ちが通じ合うのを感じるんです」

(文中敬称略)

※本稿登場課長の所属や年齢は掲載時のものです

(ライター・安楽由紀子)

AERA 2016年1月18日号