被災したアイシン精機の子会社工場では、復旧に向けた作業が続いていた/4月20日、熊本市南区 (c)朝日新聞社
被災したアイシン精機の子会社工場では、復旧に向けた作業が続いていた/4月20日、熊本市南区 (c)朝日新聞社

 巨大メーカーのアキレス腱「サプライチェーン」を直撃した九州・本大地震。足元がふらつく日本経済に少なからぬ影響を与えるかもしれない。

 愛知、岩手、宮城、東京、静岡、三重、岐阜、京都……。トヨタ自動車は4月23日にかけて、ダイハツ工業や日野自動車といったグループ企業も含む国内15カ所の完成車組み立て工場で、少なくとも生産ラインの一部を止めた。被災地から遠く離れた工場も軒並み対象となった。

 25日から順次、生産を再開する予定だが、21日時点で4カ所の再開時期は未定。4月の生産が数万台規模で減るとの見方も出ている。その引き金となったのは、たった1カ所の系列部品メーカー工場の被災だった。アイシン精機の子会社が熊本市で運営するこの工場では、設備の一部が設置場所からずれるなどして生産が止まった。

 トヨタに打撃を与えたのは、ドアを開閉する時に角度を一定の範囲内に調節する「ドアチェック」という部品の供給停止。一般に自動車は1台あたり2万~3万点の部品で作られ、一つでも欠ければ完成しない。

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