元の額が大きいからだろう。初っぱなから手応えが大きい。「ネットの最安値より1万円も高くていいんですか?」と、問いかけ方式でツッコミを入れてみると、G店ではいきなり実質で、8万3千円台まで下げてきた。ネットの最安値より、すでに数百円安い。いや、これならまだいけるかも。

「あとで来たら、値段が変わってるかもしれませんよ」

 そう揺さぶりをかける店員に後ろ髪をひかれつつ、H店へ。ここではあっさり「G店さん以上は無理」と言われ、最終決戦場のつもりで向かったI店。「シャープは台湾企業になっちゃうんですか?」と、わざわざ聞いたりしてジャブを放ちつつ、さらなるダンピングを要求。店員さんは3回ほど事務所の「上」にお伺いを立てに行ってくれたが、電卓が実質8万3250円を表示したころ、頭を下げてきた。

「メーカーも大変な時期なんです。お願いしますっ!」

 えーん、ごめんね。G店より100円も下がってないけど、買うよ。世間が花見に浮かれる週末、私だけ各量販店のテーマソングを聞いて終わった、ネギラー復帰戦だった。(ライター・福光 恵)

AERA 2016年4月18日号より抜粋