それが最近、再び注目を集めている。きっかけの一つは、若手写真家の奥山由之さん(25)が「写ルンです」での撮影を公言したこと。フィルムの魅力にハマる同世代の若者も増えた。

 アナログの「写ルンです」ブームの追い風をつくるのに、SNSも一役買っている。実際ツイッターやインスタグラムなどでは、「#写ルンです」のタグ付けをして投稿するユーザーも多い。インスタグラムには4月5日の時点で、このタグ付けがされた写真が約3万2千件も投稿されている。フィルム撮影した写真をデータ化し、インスタグラムに掲載。その質感の違いが「いい感じ」となって、写真好きの若者たちに広がっていったようだ。

 写真家の山本春花さん(29)は魅力についてこう語る。

「一番は軽さですね。ポケットにスッと入って、持ち運びに便利なんです。ただ押すだけという操作性のシンプルさもいい。フィルム交換もなく、買ってすぐ撮影できるのも魅力ですね」

 レンズがプラスチック製ということもあり、重さは90グラム(27 枚撮り)。iPhone6sは143グラムあり、スマホの3分の2ほどの重さしかない。加えて、こんな指摘も。

「デジタルだと写りすぎるし、綺麗すぎてちょっと違うと思う若い子も多い。たぶんフィルムの粗さとか曖昧さみたいな質感が好みなんです」(山本さん)

(ライター・重野マコト)

AERA  2016年4月25日号より抜粋