今年で30周年を迎えるレンズ付きフィルムの「写ルンです」。4月8日にはアニバーサリーキットも発売された(撮影/重野マコト)
今年で30周年を迎えるレンズ付きフィルムの「写ルンです」。4月8日にはアニバーサリーキットも発売された(撮影/重野マコト)
発売当時には生まれていなかった若いデジタル世代が注目している(撮影/重野マコト)
発売当時には生まれていなかった若いデジタル世代が注目している(撮影/重野マコト)

 今年発売30周年を迎えるレンズ付きフィルム「写ルンです」が再び人気だ。スマホで撮影し加工して投稿が主流の時代に、むしろ不便さが新鮮なようだ。

 昨年6月に参加した写真のワークショップで、都内の女性会社員(23)は、「写ルンです」にハマった。それまでは撮影と言えば、専らスマホやデジカメだったが、高校時代に所属していた写真部でフィルムカメラを使っていたこともあり、フィルムの魅力を再確認したという。

「人物を撮ることが多いんですけど、小さなカメラなので撮られるほうも構えることなく自然な姿を捉えられるんです」

 スマホで撮影するのは、食事写真などすぐ友達と共有したいとき。記念に残したい写真は「写ルンです」と決めている。

「旅行や海、飲み会などに友達と出かける時は、いつも鞄に入れています。撮影できる枚数に制限があるので、思い出に残るような場面での記念写真に厳選して使うことが多いですね」

 スマホに慣れた若い世代は知らないかもしれないが、「写ルンです」は旅行に欠かせない品として一世を風靡した。1986年に発売された富士フイルム製のレンズ付きフィルムで、それまでのカメラで必要だったフィルムの交換作業を不要とし、簡単に撮影できるため爆発的なヒットとなった。しかし、デジカメやスマホのカメラ機能の普及で、レンズ付きフィルムの国内出荷は97年の8960万本をピークに、2012年には430万本まで落ち込んでいた。

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