カルビー会長兼CEO松本晃まつもと・あきら/1947年生まれ。72年、京都大学大学院農学研究科修士課程を修了し、伊藤忠商事に入社。同社関連医療機器輸入販売会社役員を経て、93年にジョンソン・エンド・ジョンソンへ。99年、同日本法人社長。2009年にカルビー会長兼CEOに就任(撮影/今村拓馬)
カルビー会長兼CEO
松本晃

まつもと・あきら/1947年生まれ。72年、京都大学大学院農学研究科修士課程を修了し、伊藤忠商事に入社。同社関連医療機器輸入販売会社役員を経て、93年にジョンソン・エンド・ジョンソンへ。99年、同日本法人社長。2009年にカルビー会長兼CEOに就任(撮影/今村拓馬)

 世に「名経営者」と言われる人たちは、日々何を思いながら仕事をしているのだろう。「ブレない判断」を支えるものは何なのか。カルビー会長兼CEOの松本晃氏に「哲学」を聞いた。

 カルビー社員が仕事の基本に据える「松本の10の考え方」。これは、松本が長いビジネス経験から導いたものを短く明快に示したものだ。すべてをここに書き出す。

(1) Commitment & Accountability(仕事は全て約束。その結果に責任をとる)
(2)人の評価はFairに
(3)会社は「厳しく」「暖かく」(会社は甘いだけのところではない)
(4)現状維持是即脱落(現状に満足しない)
(5)正しいことを正しく
(6)No Meeting, No Memo(無駄な会議や資料づくりをやめる)
(7) One Dollar -OUT( 会社の金は1円たりとも私用流用しない)
(8)全てのコストは顧客が負担(コスト意識を持つ)
(9)報告の3原則(トラブルはすぐ報告せよ! 悪いことから報告せよ! ウソをつくな!)
(10)業務の3原則(簡素化・透明化・分権化)

 企業のコンプライアンスが厳しく取り沙汰される時代だが、松本は倫理観とコンプライアンスはその性質が異なると言う。

「テニスのシャラポワのドーピング違反は、禁止薬物リストの変更が原因。コンプライアンスや法律は時代とともに変化するが、倫理観は普遍」

 例えば、同じ業務を担当している正社員と契約社員で、健康診断での検診範囲に差異があるといった待遇格差について。

「人にお金をかけるのはコストではなく投資。企業にとっていちばん大事なのは人。Our Business Is People Businessです」

「正しいことを正しく」なのだ。

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