あおの・よしひさ/1971年生まれ。大阪大学工学部卒業後、松下電工(現パナソニック)に入社。97年にサイボウズを創業し、2005年から社長(撮影/高井正彦)
あおの・よしひさ/1971年生まれ。大阪大学工学部卒業後、松下電工(現パナソニック)に入社。97年にサイボウズを創業し、2005年から社長(撮影/高井正彦)

 効率的にあれもこれもと詰め込んでばかりいると、パンクする。体が疲弊してしまったり、大事なコミュニケーションがおろそかになったり。思い切って何かを捨てる。するとゆとりが生まれ、思いがけない副産物が手に入る。「イクメン社長」として知られるサイボウズの青野慶久さんの場合は、こんな方法でそれを手に入れた。

 妻の出産を機に育休を取得するなど「イクメン社長」として知られる青野さんだが、

「もともとは夜の会議も平気で入れるし、深夜0時まで働くのは当たり前。遅くまで働くのが大好きでした」

 青野さんは子どもが生まれるたびに、社長である「自分の仕事は何か」と、働き方を見つめ直した。

「インベーダーゲームにたとえると、雑魚キャラを片っ端から撃ち落とすような仕事のやり方では通用しない。点数の高いUFOだけを狙う考え方にシフトしようと思いました」

 結果、自分のやるべき仕事を二つに絞った。「意思決定」と「社内での価値観の共有」だ。それ以外の仕事はリーダーがやらなくていいと気づいた。

 取り組んだのは、会議の見直し。1時間を30分に短縮し、1対1の会議を案件によっては1対2にして、回数を減らした。限られた時間を有効活用しようと、部下や若手社員が事前の準備をしっかりするように。一方、会社の方針などを決める「本部長会議」は、週に1回、2時間。会議の時間や位置づけにメリハリをつけるようになった。

 メールの返信をほぼゼロにしたのも、青野さん流の時短術。

次のページ