親子混浴はなにも父娘だけの話ではない。埼玉県に住む女性(40)は小5の息子と時々風呂に入る。女性は母子家庭。息子は我慢する性格で、悩みがあっても母親に心配をかけたくないのか話さない。だが、風呂に一緒に入った時には重い口を開く。

「テーブルを挟んででは話さないようなことも、お風呂だとリラックスできるのか、自然と話してくれます。私の目から見て悩みがありそうな時はなるべくお風呂に誘って一緒に入るようにしています」

 前出の調査では母息子パターンも調査。やはり、息子が11歳になると、一緒に入浴するのは2割以下と、大きく減った。小学校高学年あたりに分かれ目があるようだが、この女性のようにコミュニケーションの場として風呂タイムを利用しているという家庭は多い。

●海外から見れば異様な光景

 東京ガスの別の調査でも、「子どもと一緒に入浴する理由」について親に聞いたところ、実に9割が「入浴は親子のコミュニケーションの機会として大切」と回答した(同性親の入浴含む)。

 こんな話もある。少し体格のいい5歳の息子を連れて銭湯に行った母親。いつものように女湯に連れて入ると、まわりから白い目で見られたという。

「体格がいいので小学生だと思われたのかも。実際、温泉や銭湯っていったい何歳まで女湯に入れていいのか」

 公衆浴場については、各都道府県が定める「公衆浴場法施行条例」で、何歳まで異性の浴場に入ることができるかが決められている。東京都の条例では「10歳以上の男女を混浴させないこと」となっている。神奈川県など温泉観光地を持つ地域では、「知事が利用形態から風紀上支障がないと認める場合は、この限りでない」というただし書きがある場合も多い。日帰り温泉や旅館などで「家族風呂」が許されるのはこのためのようだ。

 風呂文化を持つ日本では、異性親子の入浴はある程度の年齢までは許容範囲とみなされるが、海外では事情が違う。湯を張っての入浴文化が少ない海外では、たとえ赤ちゃんでも父親が娘を入浴させることは稀なようだ。

 アメリカ人の男性と結婚した日本人の女性は、娘の入浴を手伝ってと夫に頼むと怪訝な顔をされたという。シャワー文化の彼らにとって、シャワーはリラックスする場所というより、ただ体をきれいに洗う場所。無論、風呂で会話を楽しむなどということはなく、子どもがシャワーを浴びる時は服を着た状態でバスタブの外からサポートするのが一般的なのだ。同性であっても裸で一緒にシャワーに入るのは異様な光景に映るらしい。

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