「私の場合、これとは別に『歩きながらできること』もリストアップしています。クライアントに電話したり、提案のプランを考えたりするのは歩きながらでもできますから」(永田さん)

 営業職は特にスキマ時間が発生しやすい。移動中や電車の待ち時間、アポイントとアポイントの合間などだ。その時間を有効活用するのに欠かせないのが、リモートアクセス環境の整備だと永田さん。夕方、外回りから帰ってきた後に行うメールの処理やオーダーの入力などの作業が残業につながる。リモートでスキマ時間に作業できれば、出先からの直帰も可能だ。また、営業が外から電話で報告、内勤のアシスタントが入力という分業方式を導入し、大幅な残業削減に成功した企業もあるという。

 仕事の中で最も無駄な時間の一つ「上司の承認待ち」を、スキマ活用で効率化した企業もある。上司は朝、一日のスケジュールを組み立て、「朝メール」で、その日の自分のスキマ時間を部下に伝える。部下はその時間に合わせて承認申請を上げる。

「申請する段階で案件の内容や経緯を説明していると時間がかかりますが、この企業では事前にメールなどで情報共有のルールを決め、申請から承認までの時間を最短にする工夫もしています」(永田さん)

(ライター・青木典子)

AERA  2016年4月4日号より抜粋