空港のテロでは3人の実行犯のうち2人がスーツケースとともに自爆し、1人は逃走。身元が判明した自爆犯のアパートからISの旗とともに、爆発物「過酸化アセトン」(TATP)15キロや起爆装置などが見つかった。TATPは漂白剤や過酸化水素水、爪用除光液など薬局で市販されている材料によって手作りでき、「キッチン爆弾」とも呼ばれている。ただし、怪しまれないで大量の材料を集めるためにはかなりの準備期間が必要で、ISの指令を受けてすぐに実行できるわけではない。

 テロはアブデスラム容疑者ともつながるブリュッセルのイスラム過激派グループが、同容疑者の逮捕の後、摘発を恐れて、用意していた爆弾の材料を使って慌てて実行したと見られる。

 ISの声明で犯人たちが持っていたとする「マシンガン」については、テロ当日こそ「銃撃音が聞こえた」という現場の声が流れ、さらに現場で自動小銃が見つかったという報道も出たものの、翌日にはベルギーの検察官が自動小銃があったという報道を否定。銃撃の話も消えた。ISの犯行声明は攻撃に参加した人数も示さず、テロの標的や攻撃の意味づけなども漠然としている。発生当初の混乱したテレビ報道を見てつくった「後付け」の可能性が強まった。

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