東京・西新宿のオリンパス本社。医療用内視鏡の底堅い需要で足元の業績は好調だが、日米やブラジルなど世界中で不祥事が発覚している(撮影/写真部・堀内慶太郎)
東京・西新宿のオリンパス本社。医療用内視鏡の底堅い需要で足元の業績は好調だが、日米やブラジルなど世界中で不祥事が発覚している(撮影/写真部・堀内慶太郎)

 約5年前、1千億円超の粉飾決算が発覚したオリンパスで、今も不祥事が後を絶たない。教訓は生かされていないのか。

 記者は今回、オリンパスが外部に公表していないある調査報告書を入手した。中国・広東省深圳市の現地法人で問題になったある支払いに関するものだ。

 疑惑の概要はこうだ。カメラを生産するこの現地法人は在庫の申告を巡って中国の税関当局とトラブルになり、巨額の罰金を求められる可能性が高まった。そこで2014年、「当局に強いパイプを持つ」とされる企業グループの1社とコンサルタント契約を締結。最終的に罰金はゼロで済み、報酬として約4億6千万円を支払った。

 これについて社内で「企業倫理上の問題」が指摘され、昨年2月、監査役が調査を開始。社外取締役や弁護士らでつくる調査委員会が調査を引き継いだ。

 報告書からは、この取引の異様さが浮かび上がる。

 コンサル契約によれば、当局に支払う罰金などの額が3千万元(5億数千万円)を下回れば、下回った額の8割がコンサル側の報酬になる。一方、上回った場合は超過額の2割をオリンパス側がコンサル側から受け取る。「極端な成功報酬制」だった。

 コンサル側が税関に賄賂を渡すのではないかと社内で懸念され、オリンパス本社の笹宏行社長ら経営陣に総務部長から事情が説明された。しかし、その問答はお粗末なものだった。

 専務「中国の状況から役人の汚職に厳しく対応するなか、リスクヘッジをどうするか」
総務部長「合法・合理的な対応で解決を行うといった文言を契約書に入れます」

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