今回の事件があった広島県の場合、県内のほとんどの公立高校で推薦入試を実施。県教委によると、少ない学校でも定員の2割、多いと5割を推薦入試の生徒が占める。

 試験は面接に加えて、小論文やグループワーク。出願資格はすべての高校に共通なのが、(1)志望理由が明確、(2)学科への適性、興味・関心がある、(3)学習成績が良好である、の3点。(4)文化、スポーツ、生徒会活動などで優れた実績を挙げている、が加わる学校もある。その上で「中学校長の推薦」が必要とされている。

 しかし、高校が求めている学習成績やスポーツの成績に、数値などの具体的な基準は明記されていない。これは私立高校も同様だ。

 となると、中学校側は、推薦する生徒をどうやって選んでいるのか。県教委の担当者は、「各中学校に任されている。学校の状況に応じて、校長が判断している。県教委として示している統一の推薦基準はなく、報告義務もない」と答えた。つまり、推薦基準を直前に変更した府中町の中学校のケースも、何ら問題ではない仕組みになっているのだ。

 中学の現場はどうなっているのか。

「推薦基準は、学校ごとに違いがあるのは事実」

 東京都内の公立中学の男性教諭(49)は認めつつ、こう話す。

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