学校向けのSNS「ednity」を使い、生徒が投稿した考えを全員で共有する授業が進む。思考の可視化のほか連絡や資料の共有にも活用(撮影/ライター・三宮千賀子)
学校向けのSNS「ednity」を使い、生徒が投稿した考えを全員で共有する授業が進む。思考の可視化のほか連絡や資料の共有にも活用(撮影/ライター・三宮千賀子)

 インターネットを駆使し、情報活用力を向上させるICT教育。アナログ派にはイメージがわかないが、未来は活用しないほうがリスクの時代だ。

 教科書にペンケース、そしてiPadが机の上に並んでいる。生徒たちがシャープペンシルでノートに書いては消して解いていた数学の解答を、iPadのカメラで撮影して送信。すると瞬時に解答が画面内にずらりと並び、クラス全体で共有できる。

 ICT(Information and Communication Technology)と聞いて、実物投影できる巨大スクリーンや立体的に映し出される人物という近未来をイメージするなら、この授業は一見、これまでとさほど変わらない。

 しかしテンポがいい。全員の解答を画面で瞬時にチェックした教師は、つまずきのある生徒に歩み寄り話しかける。指名された生徒は前方の画面に映る自分の解答画像に線を書き込みながら、解き方を説明。全員で共に学ぶ授業が進む。

 文部科学省が旗を振るICT教育とは、インターネットを使って情報活用能力を育成し、協働型・双方向型の授業革新を進めるものだ。これからの時代に必須な情報スキルを高め、子どもの生きる力を育成する。それは主体的に学ぶアクティブラーニングの強力な武器とも言える。

 率先して進めるのが、冒頭の千葉県立袖ケ浦高校情報コミュニケーション科。2011年度から自己所有のiPadを1人1台全員必携とした。自分で買ったタブレット端末を学校に持ち込み活用するという公立高校で初の試みだ。家庭への経済的な負担が心配されたが、高校の授業料無償化や、電子辞書を買う必要がないなどの理由から、大きな問題にはならなかったという。

 まだICT教育に二の足を踏む学校も多い中、日高学校長は、成果の一つをこう説明する。

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