ふるさと納税で控除できる額の計算のしくみを細かくみると、(1)所得税控除、(2)住民税控除(基本分、一律10%)、(3)住民税控除(特例分、所得税率に依存)の三つを足し合わせて総額が決まる。このうち(3)は、居住地に納める住民税が減りすぎないようにするため、前述のとおり個人住民税所得割額の2割までと規定されていることから、控除額に年間上限が生まれる。

 一方、(2)の所得税は、課税される所得金額が高いほど税率も上がり、高額所得者ほど納税額が増えやすい。従って、高額所得者は(1)から還付される余地が高くなる。このため、「高額所得者ほど控除の上限額が増えるだけでなく、増加幅まで大きくなるのがふるさと納税の特徴」(高岡さん)なのだ。

 高額の寄付に対する返礼品や感謝券を自治体が充実させれば、そこに目をつけたふるなびプレミアムのようなビジネスが生まれるのは自然な流れだ。契約自治体から得る広告登録料が同社の利益となる。

 西日本に住む60代の医師は、ふるさと納税数百万円の返礼品として、病院で使うパソコンなどの事務用品を希望し、感謝券で10台以上のパソコンを手に入れた。

 経営者層に好評なのがゴルフ用品だ。感謝券を使って50万円相当のクラブ一式を調達するケースが多い。(アエラ編集部)

AERA  2016年2月29日号より抜粋