両社が発表している有効率は、1年間の使用で症状が6割ほどに軽くなる。プラセボ(偽薬)に比べても2割ほど高い有効率が認められた。副作用としては、60~70%の人に口の中の腫れ、かゆみなどが現れる。けっこう高い数字だが、98%は軽症で済む。現在はまだ新薬のため長期投与ができず、アシテアは6月まで、ミティキュアは12月まで2週間に1回の通院が必要だ。

 なお、花粉症とダニアレルギーの舌下免疫療法は、同時並行しないのが原則。薬剤費はいずれも3割負担で花粉症が1カ月千円程度から、ダニアレルギーは2千円程度からで、ほかに受診料や検査料がかかる。

 鼻アレルギーの最新治療は、免疫療法だけではない。16年には医師が使う「鼻アレルギー診療ガイドライン」が改訂され、新たな選択肢ができた。

●新タイプの配合剤も

 一つは、花粉症の初期療法(飛散開始前からの薬剤投与)や、ダニアレルギーの軽症における鼻噴霧用ステロイド剤だ。後者はこれまでも中等症以上には使われていたが、臨床試験の結果、初期療法や軽症にも有効であることがわかった。内服用と違い、用量を守ればステロイドとしての副作用はほとんどない。

 花粉症には新しいタイプの薬も推奨されるようになった。くしゃみや鼻水に効く第2世代抗ヒスタミン薬に、鼻づまりに効く血管収縮薬がプラスされた配合剤である。理論的には、一つの薬でくしゃみも鼻づまりも軽減される。

「ただ、薬の効き方には個人差があります。抗ヒスタミン薬だけで鼻づまりも改善する人もいますから、医師と相談して薬を選んでください」(岡本医師)

 軽症の人は市販薬を使うことも多いだろう。最近は処方薬と成分の近い「スイッチOTC薬」がドラッグストアにも並ぶ。手軽に購入できるのはいいが、覚えておきたいリスクもある。

「副作用として眠気と中枢神経抑制が起こる場合があります。そうなると自分ではあまり気づきませんが、市販薬を飲んだ後の車の運転は飲酒運転と同じくらい危険です。また、判断能力やパソコンを操作する能力が明らかに落ちるとする調査結果も報告されています」(同)

AERA 2016年3月7日号