各大学の10年間の構想調書には、数値目標が掲げられている。「海外留学経験のある学生100%」など野心的な数字が並ぶ。

「数字を盛らないと選考を通らなかった。実際、一橋や同志社は名門なのに、堅実な計画を出して『落選』した」(大学教育関係者)

 冒頭のエピソードは、表向きの理念と、実際の学生の意識や教員のレベルとのギャップの表れだろう。とはいえ、早稲田はSGUの中で進んでいるほうだ。外国人学生数は05年の2076人から15年は5084人へと大幅に増え、海外留学する日本人学生数でもトップレベルだ。

 意外なことに、早稲田で国際教養学部と並んで国際化を引っ張っているのは政治経済学部だという。最初から留学生が集まるよう設計された国際系学部よりも、大学全体の底上げに寄与するのは、日本人しかいなかった伝統的な“純ジャパ学部”の国際化なのだ。SGU構想の成否のカギを握るといってもいい。

 約10年前、政治経済学部から海外の大学へ長期留学する学生は年間50人程度だったが、いまは3倍に増えた。国際政治経済学科を新設し、学部独自の留学プログラムや専門科目を英語で教える授業も増やした。海外からの留学生も増え、日本人の学生にとっても入学時点で海外留学が視野に入るようになった。

「政経を先行モデルとして、全学の国際化を進めたい」(教務担当理事)

(アエラ編集部)

AERA  2016年2月29日号より抜粋