「この学校は全員顧問制だよ。教員は教職調整額をもらってるんだから顧問はやるべき。なんで中学の教員になったの?」

 教職調整額とは、時間外勤務手当代わりに支払われる「給料月額の4%」を指す。一日20分程度で換算された教師の「残業代」だ。「残業代があるんだから働け、部活やらないなら教師になるなってこと。ブラック企業と一緒じゃないかと思った」

 体罰や理不尽な練習が横行する部活が子どもにとってブラックだと注目されたが、実は教師にとってもブラックだ。

 顧問を拒否し続けるこの男性はその後、ツイッターなどで部活問題を発信、仲間と出会う。首都圏や中部地方などで公立中学校に勤める教員ら5人と「部活問題対策プロジェクト」を結成した。昨年末にオンライン署名サービス「Change. org」で署名集めを始めた。

「部活がブラックすぎて倒れそう…顧問をする・しないの選択権を下さい!」の呼び掛けに、わずか2カ月で集まった署名は2万2千人超(2月19日現在)。馳浩・文科相宛てに提出、全国の教育委員会への指導を求めるという。

(ライター・島沢優子)

AERA  2016年2月29日号より抜粋