弁護士の三輪記子(ふさこ)さん(39)は、35歳の頃、「ひとりはラク。このままひとりで生きていこう」と決めた。司法試験に合格し、仕事は順調そのもの。休日になるとゴルフに行ったり、飲みに行ったり。寂しさを感じる暇はなかった。

 そんな三輪さんだが、不妊治療をしている友人から、「子どもができるってすごいことだよ」と聞き、出産にはタイムリミットがあることを痛感。結婚しなくてもいいから産みたいと思うようになった。

 だから作家の樋口毅宏さん(44)に出会って言った。

「樋口さんの子どもが欲しい。籍も入れなくてもいい、お金もいらない、一切迷惑はかけません」

 申し込んだのは“規格外”の結婚だった。いや、結婚とさえ言わないのかもしれない。

 このプロポーズ(?)をきっかけに、昨年入籍し、11月には男の子を出産した。現在は、家族3人で三輪さんの勤務先がある京都で暮らす。

「出産に猶予があった20代は、男性のパッケージを気にしていた。その時期が過ぎ、ひとりの良さを知った。そして、シンプルに好きな人の子どもが欲しいと思うようになった」

「子ども」が視野に入ると、結婚の条件も、「異性」としてのスペックから、「一緒に子を産み育てられるか」に変わる。男女とも、40歳を前に体力の衰えを感じたり、体調を崩したりして、「子ども」を意識し、相手に求めるものが変化するのだろう。

AERA 2016年2月8日号より抜粋