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 先生が一方的に教える授業から、子どもたち自身が主体的に学ぶアクティブラーニング(AL)へ。大学入試が「欧米型」に変わろうとしていることを受け、小中学校での「勉強」が変わり始めている。

 思考力を育てる手法として注目を集めるALだが、その「思考力」とは何かを突き詰め、カリキュラムの研究・実践で先行してきた学校がある。関西大学初等部(大阪府高槻市)だ。訪ねた時は、多目的室に6年生62人が集まって会議をしていた。

「表紙の写真はわかりにくいから、テレビ会議の写真にしたらどうでしょう?」「小見出しを入れたほうが読みやすいと思います」

 議題は、2月に参加する国際協力の催しで配る、本の宣伝リーフレットについて。彼らは間もなく本を出すのだ。自費出版と侮るなかれ。ちゃんと書店で買える本だ。テーマは4年前から続けてきたインドの小学校との交流。貧しい子どもたちが通う学校だ。

 それにしてもなぜ、小6にして「出版」というプロジェクトを成し得たのか。

 多くの教師は「考えて行動しなさい」「みんなしっかり考えて」などと、頻繁に「考える」という言葉を使うが、三宅貴久子先生(59)によれば、子どもたちは「考える」=正解を見つけ出すことと捉えがちだ。しかし「考える」の出発点は、「正解」や「当たり前」とされてきたことに「本当?」「なぜ?」と疑問を持つこと。そこから情報を集め、周りの意見も聞きながら、自分なりの答えを模索していく。同校は、そのプロセスこそが「思考力」を育てると考えた。

 子どもたちは1年生から「比較」「分類」「多面的にみる」「関連づけ」「構造化」「評価」といった「考える」を分解した六つの思考スキルを学ぶ。同時にチャートやコンセプトマップなど、それぞれのスキルに対応した思考ツールの使い方も、各教科の中で自分のものとしていく。

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