8月の特集で、家族や介護を専門とする社会学者の平山亮さんは、一つの世帯を支えるのに精いっぱいな人たちが、きょうだいを引き取り、その次の世代である子どもが影響を受け……と、世代をまたいで貧困が連鎖していく可能性を示唆していた。アンケートの結果は、実際そうした懸念を多くの人が抱いていることを示している。

 冒頭の女性に、親亡き後、独り身の義兄や自身の弟が、自分の子どもに老後の世話を頼んできたらどうするかと尋ねると、こう答えた。

「きょうだいが困窮し、介護が必要になったら、ひとまず私は助けます。自分のできる範囲で。けれどその世話を、私の子どもに負わせることになるとしたら、迷惑です。子どもには子どもの人生がありますから」

 女性がこんなふうに考えるのには、理由がある。まさに自身の母が、父の独身の伯父(女性にとっての大伯父)を世話してきたのを見てきたからだ。母はよく愚痴を言っていた。

「特に何をしてもらったわけじゃないのに……。うちは跡取りでもないのに、なんで私はこうなっているの」

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