同校は「25歳の男づくり」を目標に、奉仕の精神を持った人間を育てる教育を実践する。オリエンテーション合宿や林間学校など、校外での宿泊行事も中1から盛んだ。中3修了時の春休みには、ボスコの故郷イタリアへ研修旅行に出かける。

「他者への奉仕は、自己への肯定感がないとできない。宿泊行事では仲間と一緒にミッションをこなし、自分も必要とされる一人だと実感できるようなプログラムを取り入れています」(榎本神父)

 キリスト教学校は、西洋の最先端の知を学ぶ場であったことから、入試難関校も少なくない。

 1870年創立と長い歴史を持つ女子学院(東京都千代田区)は、いわゆる女子御三家の一つ。東京大学などに多くの進学者を送り出している。それだけに週1時間の「聖書」の授業は、かなりレベルが高い。中学では聖書の歴史的、文化的な背景を学ぶ。高校になると、現代社会の事象や国際問題を、キリスト教に触れながら考えていく。

 ときには1時間の授業が、ヨーロッパの宗教改革から始まって、天正遣欧少年使節に触れ、当時の日本の歴史へ、さらには哲学へと、横断的に広がっていくという。知識を教えるだけでなく、たとえば「三位一体」とはどういうことか、聖書に記されている意味を生徒に投げかけて、考えさせる。

「もともと学問とは区切られているものではなく、さまざまな分野が絡み合って成り立っている。生徒には、キリスト教を通じて考えを深めてほしい。その材料として、広い知識が必要なのです」(聖書科・魚屋義明教諭)

AERA 2016年1月25日号より抜粋