企業も大きく変化している。社員の8割が女性という信販会社クレディセゾンは、「育児中もキャリアアップする」ことを前提に、人事制度を改革した。

 出産・育児休業中の総合職社員は「人事部預かり」とし、復職時は戦略的に配置し直すという。これまでは一律に、出産前の部門に戻ったが、本人の希望と適性を考え、復職をキャリア開発に生かす。

 初年度の昨年は、復職時に22人中13人が異動した。人事部を管掌する武田雅子取締役は、効果をこう考える。

「元の職場で2時間の時短を使うと『労働が2時間足りない人』と見られ、マミートラックに陥ることもある。でも異動すれば『5時間働ける人』になり、本人はより頑張ろうとする」

キリンビールも育児関連の制度にメスを入れた。00年代からの女性活用の取り組みのなかで、育休期間を「子どもが3歳に達するまで」から「2歳に達するまで」に短くしたという。

「復職率がほぼ100%になり、育休の取得期間も年々短くなった。ゆっくり休める制度より、復帰後の支援を充実させるほうが実態に合っている」(キリン多様性推進室の尾白克子室長)

 同社は、時短勤務を5時間、6時間、7時間の3パターンに分けたり、1回ではなく最大5回に分けて取得できるようにするなど、多様な働き方を選べるようにした。

AERA  2016年1月25日号より抜粋