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 小説に映画、漫画にゲーム……「三国志」の世界は過去から現在に至るまで、様々な媒体で描かれてきた。本場・中国の人たちが驚くほど、日本での人気は根強い。それだけに三国志をテーマにしたゲーム制作でも、その「三国志愛」が試されるという。

「以前、蜀末期のマイナー武将・馬邈(ばばく)を登場人物から外した際に、再登場を懇願する『東京馬邈会』という名義の封書をもらいました(笑)。武将の選定やパラメーターは、社内でも議論が分かれがち。ユーザーのみなさんと社員一同の愛が試されています」

 そう語るのは、「三國志」シリーズの発売元・コーエーテクモゲームスの「三國志13」プロデューサー、鈴木亮浩さん(46)だ。日本の三国志文化を語るうえで、本作が与えた影響は極めて大きい。

 当初のゲームデザインは『演義』や吉川三国志に準拠していたが、近年はコアなファンの存在や新たな人気コンテンツの登場を反映して、柔軟な制作方針を採る。同社「三國志13」ディレクターの利川哲章さん(43)が話す。

「例えばこれまでに、魏の楽進(がくしん)は『蒼天航路』での活躍で多少パラメーターを変えました。また正史に詳しいファンの増加で、『三國志6』ごろからは正史の設定も採用。制作上、他作品の『三國無双』とは線引きをしていますが、近年はキャラの設定に多少の影響は受けています」

 同社のベテラン社員の多くは自身も「三國志」シリーズを遊ぶなかで育ってきた世代だ。また、開発担当者には、大学などで中国史を専攻した人も多い。なかには中国人の社員もいる。

「アジアでの三国志の人気は日本ほどではなく、その違いに驚かれることもしばしば。例えば呂布(りょふ)は『無双』では主人公格の最強キャラで、ファンの人気も高い人物ですが、『裏切り者』とされる彼がなぜ人気なのか、不思議に感じる人もいるようです」(鈴木さん)

AERA 2016年1月18日号より抜粋