年長者が口を出せば、未来を担う若者が動きづらくなる。60歳以上の人間は、30代、40代に道を譲り、同時に「顧問」として後方支援しようと伝えた。町外から事業所を移した厨勝義さん(37)は、町をこう表現する。

「町の主要ポジションは、年齢順ではなく、機能別に決まっている。だから動きやすい」

 重要な決定は、町長から町民に直接伝えることも徹底した。

 ただ、一方的な説明にならないよう、1回に集める人数はせいぜい40人程度に。これまで行った住民向け説明会はのべ180回。同じ内容の説明会を、36もの場で行ったこともある。

 街づくりの会議は、町民参加型。以前から住民主体で行っていたイルミネーションイベントを、商店街でやりたいという意見や、地元の鍋料理「女川鍋」を振る舞うイベントも継続したいという要望が出た。

「町の基本方針は、行政が示す。でも町の使い方は、使い手と一緒に作る。街づくりは町全体がチームなので、行政なら『女川チーム・行政担当』と認識することが大切です」(須田町長)

AERA  2015年12月28日―2016年1月4日合併号より抜粋