女性登用の数値目標などを義務づける女性活躍推進法を8月に成立させた、その足元の国会に至っては、女性議員の割合はわずか1割だ。安倍政権は「女性が輝く社会」を提唱しているが、国会では前述の女性議員が訴えたようなセクハラさえ横行する。こんな状態で「女性活躍推進」や「1億総活躍」などできるというのだろうか。

 アエラは10~11月、「女性政治家に望むことは何ですか」というアンケートを実施した。その中で、なぜ日本で女性政治家が増えないと思うかを聞いたところ、「政治の世界は男性社会でロールモデルが少ないから」が4割を占めた。育児との両立、家族の理解、お金、政党の擁立などの課題はあるが、そもそも政治の現場に女性がいないから入ろうとする人がいないという「鶏が先か卵が先か」の構造を問題視する人が多かった。

 1982年に労働省の婦人少年局長に就任し、男女雇用機会均等法の制定に尽力した、元文部大臣の赤松良子さん(86)は、もはや候補者の性別を割り当てるクオータ制を導入するしかない、と訴える。

「日本で女性政治家が増えないのは、嘆いているばかりで増やすための特別な対策を何もしていないから。女性にゲタを履かせるという批判もあるが、本気で取り組まなければ外国にますます後れを取ってしまいます」

 12月10 日には、代表を務める「クオータ制を推進する会」が、「政治分野における男女共同参画推進法(仮)」の制定に向けた決起集会を開いた。公職選挙法の改正により、比例代表の名簿で男女が交互に当選できる仕組みづくりも求めている。超党派の議員連盟は58人になり、来年の通常国会での法案提出を目指す。

AERA 2015年12月21日号より抜粋