中国人向け不動産仲介業を営むTMセンチュリーの看板。専務の玉城理恵さんによると「うちの場合、投資の問い合わせは大金持ちではなく、高収入の会社員などが多い」(撮影/編集部・直木詩帆)
中国人向け不動産仲介業を営むTMセンチュリーの看板。専務の玉城理恵さんによると「うちの場合、投資の問い合わせは大金持ちではなく、高収入の会社員などが多い」(撮影/編集部・直木詩帆)

 円安などから急増する海外からの旅行客。これを受けて増えているのが、仲介サイトのAirbnb(エアビーアンドビー)を利用した、マンションでの民泊だ。それらの多くが、旅館業法違反(無許可営業)だという。住民にも迷惑をかけかねない民泊問題、すでに対策に動き出しているマンションもある。

 急増する訪日客の受け皿としてマンションの空室を活用する──安倍政権がうたう規制緩和方針は、ホテル不足の解消策として聞こえはいい。ただ、そこで暮らすマンション住民の視点が欠けている。ふつうの感覚なら、隣室がホテル代わりになるのは迷惑に違いない。オートロック付きなどグレードが高くなれば、なおさらだ。

 一級建築士の武内修二氏がAirbnb上の写真などから分析したところ、高級分譲マンションが集まる東京・豊洲の湾岸エリアだけで、11棟12戸の「貸し物件」が見つかった。築浅のタワーマンションが多く、相場は1泊2万円前後。東京湾を望める絶景に加え、幾重ものオートロックにプールやジムなど豪華設備をアピールする物件も。不特定多数の海外旅行客が住民専用プールをわがもの顔で泳ぐ様は、住民なら決して見たくない光景だろう。

 なんとかAirbnbでの民泊利用を排除しようと、分譲マンションの管理規約や使用細則を変える動きも活発だ。

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