「やっぱりそうですか、実は私もそう思っていました」と答えたところ、合格した。

「予備校の面接対策が進んでおり、受験生の素(す)の姿が見えにくくなってきた。そこで意図的に圧迫面接を行い、受験生がどういう反応をするか見ているのです」(田尻氏)

 東京出身のD君は、地方私立大の面接で志望理由を尋ねられ、「医学部ならどこでもよかったんです」と本音をもらしたところ、「だよねえ」と面接担当者が苦笑して場が和んだという。

東京慈恵会医科大学の集団面接は、課題を記した紙を見て答える。受験したE子さんは、

 ──外来生物が日本の生態系に及ぼす影響とその対策。

 という課題に、「外来種が悪いわけではない。往々にして見た目が派手なので、動物園や水族館で飼育し、共存の道を探りたい」と答えて、好感触を得た。

「外来種の立場にも立ったことがよかったと思う。一方的に排除すべきと主張した受験生には、面接した先生も引いていたように感じました」(E子さん)

AERA  2015年11月23日号より抜粋