医学部入試を得意とする予備校では、模擬試験にも力を入れている。ただ、マニュアルどおりの優等生的な受け答えが、あだになることも…。結局受験生本人の資質が問われるようだ(写真:駿台予備学校提供)
医学部入試を得意とする予備校では、模擬試験にも力を入れている。ただ、マニュアルどおりの優等生的な受け答えが、あだになることも…。結局受験生本人の資質が問われるようだ(写真:駿台予備学校提供)

 医学部入試で避けて通れないのが面接だ。国公立は東京大学と九州大学を除く全大学で、私立でも一部入試方式を除く全大学で、面接を実施している。その理由を、医学部合格者数トップを誇る駿台予備学校の竹内昇・市谷校舎長は、こう話す。

「医学部への進学は、ほぼ医師の仕事に直結します。医師は命や健康にかかわる職業で、高い倫理観を必要とし、患者とのコミュニケーション能力が必須。学力だけでは測れない適性を面接で見ているのです」

 ひ弱で頭でっかちな受験エリートを見破るため、「圧迫面接」は程度の差こそあれ、私立や国立でも行われているようだ。

 今春、地方の私立大を受験したB君は面接で「臓器移植について」質問された。頻出テーマで準備も怠りなく、優等生的な受け答えをして、ほっとしたのもつかの間、

──詳しいね。じゃあ海外の臓器移植はどう思う?

 と聞かれ、絶句。「わかりません」と言ったきり、固まってしまったが、結果は合格だった。

「知識を測ることが面接の目的ではありません。あやふやな答えだとさらに突っ込まれる。素直にわからないと答えたほうが心証がいい。明るく元気で素直、これにつきます」(医歯専門予備校・メルリックス学院の田尻友久学院長)

 東京の私立大を受験したC子さんは、1次の学科試験の結果について、

 ──数学が壊滅的だねえ、これでよく通ったね。

 と言われて戸惑った。試験結果は面接担当者の手元にあるが、自分は知らない。

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