スペシャルティコーヒーの震源地が西海岸だったのは偶然ではない。グーグルをはじめ、世界を代表するデジタルアントレプレナーの間では、職場でも自宅でもない「サードプレイス」と呼ばれるカフェという空間が、新たなビジネスを生み出すプラットフォームの役割を担ってきた。

 どんなに忙しくても、注文を受けてから、バリスタが一杯ずつ上質なコーヒーを淹(い)れる。自身が思い描く完璧な一杯を目指し、信念を貫く姿が、若手起業家たちの物作り精神に共鳴したのだ。

 ローパー監督が注目したのは日本の喫茶店文化。日本人の気質でもある「細部まで行き届く注意力」は、コーヒーに関しても例外ではないと話す。

「米国でもここ数年、ようやくサービスの重要性に気がついたけれども、日本の喫茶店では数十年前から大切にされてきた。日本のコーヒーカルチャーは猛スピードで育っていて、高水準の店も増えている。日本はスペシャルティコーヒーを新たなレベルに引き上げていると思う」

AERA  2015年11月30日号より抜粋