日本はスペシャルティコーヒーを新たなレベルに引き上げていると思う(※イメージ)
日本はスペシャルティコーヒーを新たなレベルに引き上げていると思う(※イメージ)

 ブルーボトルコーヒーの日本上陸に沸いた今年。上質な暮らしを実践する“サードウェーブ系男子”なる造語も登場、コーヒーを媒介としたライフスタイルに注目が集まった。そんななか、日本の喫茶文化に注目するアメリカの映画監督がいる。

 この映画の主人公は、大量生産、大量消費を最優先とし、投資の対象として工業製品と化してしまった20世紀のコーヒー文化と決別。品質重視、少量生産によって生産者と消費者が直接つながる「ダイレクトトレード」を実現し、市場経済に左右されない「自分たちの市場」を手に入れた「スペシャルティコーヒー」に人生を捧げた人々だ。彼らの合言葉は「Seed to Cup」。つまり一杯のコーヒーが完成するまでのあらゆる工程(収穫、精製、焙煎、抽出)に責任を持つという意味である。

 監督は米国・サンフランシスコ在住のCMクリエイター、ブランドン・ローパー。友人のバリスタと共に、コーヒー豆の原産地である中南米のホンジュラス、アフリカのルワンダなどを3年かけて取材。その上で、現代のコーヒーカルチャーを牽引するサンフランシスコ、ポートランド、シアトルなど米国西海岸と東京で、至高の一杯を提供する名だたるバリスタや職人たちの姿を記録した。

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