衆議院議員下村博文さん(61)しもむら・はくぶん/自民党副幹事長。96年初当選。文部科学政務官、内閣官房副長官、文部科学大臣など(撮影/写真部・大嶋千尋)
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衆議院議員
下村博文
さん(61)
しもむら・はくぶん/自民党副幹事長。96年初当選。文部科学政務官、内閣官房副長官、文部科学大臣など(撮影/写真部・大嶋千尋)

 日本最高峰の大学・東京大学が、世界大学ランキングではアジアナンバー1から陥落した。ノーベル賞もなかなか取れず、世界でのプレゼンスは低下の一途。日本の大学が抱える問題を、衆議院議員の下村博文さんは次のように話す。

*  *  *

 東大に限らず、世界の競争の中で日本の大学はこのままではジリ貧です。今年、「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」の世界の大学ランキングで東大が後退し、話題になりました。

 日本の大学には「どんな学生がほしいのか、そのためにどんな試験をするのか」というアドミッションポリシー(入学者受け入れ方針)がありません。その象徴が、東大に受験エリートが集まってしまう「理III問題」ではないでしょうか。生徒は、医者になりたいからではなく、日本で一番難易度が高いから東大の医学部を目指すと聞きます。

 学力も一つの判断材料ですが、本来入試では、伸びしろがどれくらいあるのか、どんな目的意識をもっているのか、どれほどやる気や意欲を持っているのかが知りたいはず。ペーパーテストではなく、面接や小論文でそれらを測る。受験勉強で燃え尽きて、意味のない大学生活を送るような生徒を合格させても仕方がないでしょう。

 東大が始める推薦入試は、単なる受験エリートではない人を入学させようとしているもので、まずは評価したい。今後さらに、入試の多様化を進めてほしいと思っています。

 例えば、米シカゴ大学では、企業の人事担当を経験したOB・OGが、入試の面接担当者を務めます。人を見る目があるからです。東大も、新たな価値基準で入学者を選ぶなら、面接担当者を変えていく必要がありますね。

AERA 2015年11月23日号より抜粋