高級品だった卵をのりと合わせるという大胆な発想。ロゴが放物線を描いているのは、まさにご飯に「ふりかけ」る様子を表している(撮影/写真部・岸本絢)
高級品だった卵をのりと合わせるという大胆な発想。ロゴが放物線を描いているのは、まさにご飯に「ふりかけ」る様子を表している(撮影/写真部・岸本絢)

 昭和が終わってすでに27年。過去のデザインを冷静に参照できる時期に入っていることも大きいだろう。その時代を知らない若い人たちが昭和レトロデザインに引かれ、「(水森)亜土ちゃんのイラスト、最高!」と盛り上がったりしていることなどから考えると、ノスタルジーの問題だけではなさそうだ。

 初めて触れた人にも魅力が伝わる強いデザインを量産していたあの頃。そんな時代が、確実にあったのだ。

「弊社のふりかけは3世代にわたって召し上がっていただいている商品なので、“お父さんの頃はこのデザインだった”なんて、会話のきっかけにもなっています」(丸美屋食品工業ふりかけチーム・丸山すみれさん)

「丸美屋ののりたま」といえば、ほとんどの人が一度は口にしたことがあるだろう大ヒット食品だが、今年になって販売が開始された復刻初代パッケージは、発売55周年記念企画の一環。中には歴代パッケージ8種類がそれぞれ小袋になって封入されているほか、オールドファン感涙の「8(エイト)マン」シールまで付いている。

 初代のイラストとロゴは大高重治氏によるもの。ニッカウヰスキーのあの髭(ひげ)のおじさんデザインを手がけた方である。ピアノ教本「こどものバイエル」の表紙などでも知られる。昭和を代表するグラフィックデザイナーの一人だ。

次のページ