「認知症フレンドリーな社会」で一歩先を行く静岡県富士宮市。行政や住民などが「応援団」をつくり、当事者を支えている(※イメージ)
「認知症フレンドリーな社会」で一歩先を行く静岡県富士宮市。行政や住民などが「応援団」をつくり、当事者を支えている(※イメージ)

「認知症フレンドリーな社会」で一歩先を行く静岡県富士宮市。行政や住民などが「応援団」をつくり、当事者を支えている。

 北海道から九州までタスキをつなぐ日本縦断リレー「RUN伴(とも)2015」(7月4日から11月1日まで)。5年目となる今年のキャッチコピーは、

<認知症それがどうした、おれはおれ!!>

 富士山麓を巡る静岡県富士宮市の区間では、認知症の16人を含む96人が18キロをリレーした。ランナーの中に、このコピーの考案者である佐野光孝さん(67)の姿もあった。ガス関連会社の営業マンとして働いていた58歳のときに認知症と診断されたが、いまは家族や「町の応援団」と、認知症フレンドリーな社会づくりを目指している。

 富士宮市は、認知症支援の先進モデル地域である。「介護保険だけに頼らずに『地域で』支える」がモットー。認知症の人と出会い、生の声に触れる機会をたくさん設けている。さまざまな業種の団体を巻き込み、利害関係を超えて活動を展開している。認知症の当事者を軸に、独自のネットワークを構築した。市民や行政による暮らしやすい町づくりは、「富士宮方式」として注目を集め、全国各地から、さらには外国からも視察者が訪れる。

 昨年からは、全日本認知症ソフトボール大会「Dシリーズ」の開催地になった。商店街連盟や地元ラジオ局が準備に加わり、認知症の当事者、家族、行政、企業がひざを突き合わせ、実現にこぎつけた。

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