「俵積型なら先生たちは全員を均一に鍛えなくてはいけない。そこに挑まず、運動能力の高い子に重い負荷を背負わせる立体型が増えていったのではないでしょうか」(前出の木村さん)

 運動能力の高い一部の子どもに頼って、見栄えよく、親も子どもも感動するパフォーマンスを追求する。それが巨大化の背景にあったのではないか。

 ただ、組み体操自体が悪ではない。子どもたちの運動能力を見極め適切に指導すれば、達成感を味わえる取り組みになるはずだ。だが、残念ながらそうなっていないと木村さんは言う。

「全体的に子どもの体力が落ちているうえ、教師の指導力低下といった現状も否めない。教員同士が手から手へ、口から耳へと指導法を伝授していくべきなのに、それができていない」

10段の巨大ピラミッドで事故が起きたのは大阪府八尾市の市立中学校。同市で勤務する40代教員も、教師間で正しい指導が伝わっていないと感じる。

「どの小中学校も教員の年齢構成がアンバランス。中堅といわれる40~50代が抜け落ち、半分が20~30代前半のため指導のコツを伝え切れていない」

AERA  2015年11月9日号より抜粋