巨大化する組み体操のピラミッド。最近主流の立体型。成功すれば親たちからも歓声が湧くが、事故も多発している。一歩間違えば深刻な事態にもなりうる (c)朝日新聞社
巨大化する組み体操のピラミッド。最近主流の立体型。成功すれば親たちからも歓声が湧くが、事故も多発している。一歩間違えば深刻な事態にもなりうる (c)朝日新聞社

 メディアやネットを騒がせた「組み体操ピラミッド論争」。「リスク管理が十分でない。即やめるべき」と反対派が言えば、「子どもに達成感を味わわせたい」と賛成派も訴える。

 今や、中学校で10段にも達するピラミッド。そもそも、なぜこんなに巨大化したのか。

 大阪市立小学校校長を昨年度退職し、『「みんなの学校」が教えてくれたこと』の著書がある木村泰子さん(65)は言う。

「大きなピラミッド作りが流行し始めたのは10年前くらいから。見た目は派手だし感動的だから、ネットを通して拡散してしまったように感じる」

 ピラミッドの形は、従来は土台が1列のみで単純に重なる「俵積型」が主流だったが、奥行きのある土台に重なり、内部の子どもが見えない状態で三角錐を作る「立体型」が次第に研究された。俵積型よりも立体型のほうが、構造上巨大化しやすい特徴を持つ。

 加えて、立体型は、どのポジションを担当するかによって、負荷に大きな差がある。名古屋大学大学院准教授の内田良さんの著書『教育という病』によると、10段ピラミッドの土台になると、中学生なら200キロ前後の負荷がかかる。一方、軽いポジションなら0.2人分の負荷で済むという。対して、従来の俵積型は、構成する子ども全員にほぼ同等の負荷がかかる。一番下のポジションは重みに耐える力が必要だが、上はバランス力が求められる。

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