懸命にミルクを飲むはんにゃ。多くの人の手によって、命がつながれた(写真:北原みのりさん提供)
懸命にミルクを飲むはんにゃ。多くの人の手によって、命がつながれた(写真:北原みのりさん提供)

 最近はあまり見かけることがなくなった捨て。でもそれだけに、もし子猫を拾ったら、どうしたらいいのか分からない人も多いのでは。最近、子猫を保護した作家の北原みのりさんの場合はこうだった。

 今年8月、作家の北原みのりさんは会社に泊まり込む日々が続いていた。北原さんの右手には哺乳瓶、左手には片手におさまるほどの子猫。

「『はんにゃ』って名前なの。少し顔が般若っぽくない?」と、笑って紹介してくれた。

 その10日ほど前、はんにゃは雨上がりの夕方、千葉・柏の国道16号の真ん中にうずくまっていたところを、車で通りかかった菊地昭彦さん(46)に保護された。トラックも走る大通り。

「ひかれずにいたのが奇跡的でした」(菊地さん)

 保護した当初、体重220グラム。冷えていた子猫の体は、飼い犬が寄り添って温めてくれた。離乳前の子猫は、3時間おきにミルクをあげ、排泄を促さなくてはならない。仕事のある菊地さんには、その子猫を飼い続けるのは難しかった。そこで知り合いを通して、北原さんにSOSが届いたのだ。

 自宅には飼い猫がいた北原さんは、子猫を会社に連れて帰った。昼はスタッフと交代でミルクをあげ、夜は北原さんが面倒を見る。疲れ切って、「気がつくと床で寝ていた」ことも。

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