10月4日に開かれたグランプリシリーズの記者会見に勢ぞろいした選手たち。前列左から、宇野、浅田、村上佳菜子、宮原。後列左から、村上大介、小塚崇彦。他に羽生、無良崇人、本郷理華らも出場する(撮影/品田裕美)
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10月4日に開かれたグランプリシリーズの記者会見に勢ぞろいした選手たち。前列左から、宇野、浅田、村上佳菜子、宮原。後列左から、村上大介、小塚崇彦。他に羽生、無良崇人、本郷理華らも出場する(撮影/品田裕美)

 今月22日のスケートアメリカで、グランプリシリーズが開幕。復帰した浅田真央、羽生結弦とパトリック・チャンの対決に加え、高校3年生が主役だ。

 1万6千人を超す観客のスタンディングオベーションがわき起こる中、昨季の世界ジュニア王者の宇野昌磨(しょうま)(17)は氷上で拳を握りしめた。

「すごい気持ち良かったし、本当に達成感というのもあった」

 今月3日、さいたまスーパーアリーナで開かれたジャパンオープン(フリーのみで競う国・地域別対抗の団体戦)で、シニアへの本格参戦が今季からとは思えない圧巻の演技を見せた。

 フリーの曲は、2006年トリノ五輪で荒川静香に金メダルをもたらしたオペラの名曲「トゥーランドット」。宇野の演技で特に目を引いたのは後半だ。4回転─2回転の2連続を含む、五つのジャンプ要素すべてを成功させ、「あの時点でできるベスト(の演技)だったんじゃないかな」と手応えをつかんだ。

 得点は参考記録ながら、フリーの世界歴代5位に相当する185.48点。昨季の世界選手権を制したハビエル・フェルナンデス(スペイン)、2季ぶりに復帰したソチ五輪銀メダルのパトリック・チャン(カナダ)といった選手たちを大きく引き離し、男子1位となった。チャンは、「疲れ知らずで後半もスピードが落ちない。非常に力強い」と宇野を称賛した。

 女子でも、宇野と同じ高校3年生に注目が集まる、昨季、女子の全日本選手権を初制覇し、世界選手権でも銀メダルを獲得した宮原知子(さとこ)(17)だ。発言は控えめだが、芯が強くて練習の虫。新しいシーズンへの自信を深めている。

「世界選手権を経験して、自分の気持ちをコントロールできるようになってきた」

 以前はミスをすると崩れる傾向があったが、立て直す力がついた。ジャパンオープンでも、リストの「ため息」に乗せて冒頭の3回転─3回転の2連続ジャンプを決めると、持ち前のスピード感ある滑りを披露した。

 世界選手権を制したエリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア)、同4位のグレーシー・ゴールド(米国)を抑え、復帰初戦の浅田真央に次ぐ女子2位の好成績(134.67点)。特に技術点は71.70点で、浅田(71.88点)と互角だった。

AERA  2015年10月26日号より抜粋