記者会見した定時制高校2年の女子生徒(中央)は、働いていたコンビニで15分未満の賃金を切り捨てられ、有給休暇も取得できなかったという。「ユニオンをつくって頑張る仲間を助けたい」/8月27日、厚生労働省 (c)朝日新聞社 @@写禁
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記者会見した定時制高校2年の女子生徒(中央)は、働いていたコンビニで15分未満の賃金を切り捨てられ、有給休暇も取得できなかったという。「ユニオンをつくって頑張る仲間を助けたい」/8月27日、厚生労働省 (c)朝日新聞社 @@写禁

 深刻化するブラックバイト問題。過酷な労働に加え、脅迫めいた言葉に恐怖を感じた学生もいる。

「殺すよ。本当に殺してやる」

 スマートフォンには、女性店長のすごむ声が吹き込まれていた。首都圏の大学2年の男性が、アルバイトをやめたいと伝えた後、かかってきた電話だという。

 男性は、昨年5月から飲食チェーン「しゃぶしゃぶ温野菜」のフランチャイズ店舗にアルバイトとして勤務。当初週4日、一日約5時間の勤務だったが、昨年末ごろから人手不足などにより出勤回数が増えた。

 今年4月から8月までの約4カ月間、休みはゼロ。一日12時間近く働いた。やめようとすると店長から胸ぐらをつかまれ、「2時間食べ放題コース」のお客を時間どおりに帰せなかったことなどの「罰」として自腹を切らされた。計十数万円を支払わされたという。冒頭の脅迫めいた電話は8月中旬のものだ。

 男性は個人で入れる労働組合ブラックバイトユニオン(東京都世田谷区)に相談。ユニオンのアドバイスを受け、証拠となる音声などを残してきた。9月10日、ユニオンは、フランチャイズ本部のレインズインターナショナル(横浜市)などに、自腹支出の全額返還などを求め、団体交渉を申し入れた。

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