東京の街や商品はグローバル化が進んでいるようにも思える。だが、フィールドワークを設計した東大工学部講師の小松崎俊作さんは、学生の意見に「東京は思っていた以上に東洋だと感じた」(写真:東京大学i.School提供)
東京の街や商品はグローバル化が進んでいるようにも思える。だが、フィールドワークを設計した東大工学部講師の小松崎俊作さんは、学生の意見に「東京は思っていた以上に東洋だと感じた」(写真:東京大学i.School提供)

 東京五輪の招致では「おもてなし」が決め手になった。だが、実際に東京にやってきた外国人の学生たちは、それを実感できなかったようだ。彼らの目に映った東京とは――。

「酒樽」に「招き」、そして「くまモン」……。海外の大学生が「東京」をテーマに選んだアイテムはどれも、日本オリジナルなものだった。

 日本の酒樽は洋樽とは違う独特の形をしているし、海外でも人気だという招き猫も日本の縁起もの。だが、「東京を代表するアイテム」とは言いにくい。くまモンだって、東京じゃなくて本出身。そもそも、大都市・東京に「らしさ」はあるのだろうか。

 そんな疑問が生まれたのは、イノベーション人材の育成を行う「東京大学i.school」が行った「東大イノベーション・サマープログラム2015」でのこと。東京大学に加え、ハーバード大学やオックスフォード大学など、22大学から42人の学生が集まった。参加を希望した海外の学生は850人にも上ったという。

 東京の街を歩き、フィールドワークを通して「魅力」や「不思議」を写真に収めた。ワークショップでは「魅力」や「不思議」がどこから生まれるのかを探った。例えば、風鈴や神社に敷いてある砂利は「音によって自然を感じられる」ということで高評価。他にもひな人形や和菓子、ちょうちんなどがピックアップされた。

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