コンビニの棚を取り合うメーカー間の競争も熾烈だ(撮影/鳴澤大)
コンビニの棚を取り合うメーカー間の競争も熾烈だ(撮影/鳴澤大)

 ビール税一本化に向けて、国税局が動き出しているようだ。税率はどうなるのか、またメーカーにはどんな影響があるのか。

 小遣いが増えないサラリーマンや、メタボに悩む老若男女の「救世主」。それが、価格の安さや「糖類オフ」などの機能性が特徴の発泡酒と第3のビールだ。

 ビール類の税率は、原料のうち麦芽を使った比率で「ビール」「発泡酒」「第3のビール」の順で低くなる。さらに、原料が麦芽、ホップと特定の副原料に限られるビールに対し、残る二つは香料や機能性食品を使えるなど自由がきくことから、新商品開発の主戦場になってきた。

 ところが、今年度の与党税制改正大綱はビール類の税率を一本化する方向で「速やかに結論を得る」と明記。前年までは「検討を進める」だっただけに、今度こそ本気、と受け止められた。さらにこの夏になって、財務省が与党と調整に入ったことが明らかになった。

 税率が一本化されれば、現ビールは引き下げ、ほかは引き上げになる方向だ。

 そもそも、発泡酒や第3のビールが生まれた背景には、ビール系飲料市場の縮小がある。戦後、ほぼ一貫して伸びてきた市場が、1993年度にいったん減少した。再び勢いを取り戻そうと、麦芽の比率を65%に抑えることで、350ミリリットル缶1本で約24円、酒税が減る発泡酒「ホップス生」をサントリーが94年に発売した。

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