そもそも、東アジアカップのテーマとして、ハリルホジッチ監督が掲げたのは「代表に定着できる選手を探す」だった。

 残念だが、代表チームの主力を占めるのが海外組である状況は依然、変わっていない。彼らには多くの試合を重ねてきたコンビネーションが存在する。海外組がそろえば、少なくともW杯2次予選の段階で日本が敗退することは想像しにくい。むしろ深刻な問題と受けとめるべきなのは、代表チームの土台とも言える国内組のレベルの地盤沈下のほうだ。

 東アジアカップでまみえた韓国、中国、北朝鮮はW杯3次予選以降で倒さなければならないライバルとなる可能性がある。しかし、強い印象として残ったのが個人の力量差である。

 日本選手はこれまでパワーやスピードで劣る分、技術を生かしたパスワークやグループ戦術で埋めてきた。しかし、日本が得意とした分野でも韓国や中国のレベルアップは著しい。

 昨夏のW杯ブラジル大会以降、若年層の年代別代表チームもアジアレベルの大会で苦戦が続いている。「日本はいまや恐れる存在ではない」という認識はアジアで広がりつつある。長期的な視野でのJリーグや育成年代の指導など、日本のサッカー界全体の見直しは急務だ。

AERA 2015年9月7日号より抜粋