高萩さんは、感慨深げに言う。変えたいのは、スマホやタブレット、パソコンの画面にかじりつく現代人の暮らしそのものだ。

「スマホのアプリっていうと、画面をのぞき込んで楽しむものがほとんどで、会話もしないし、動かない。Moffで人を画面から解放し、もっと体を使ったコミュニケーションや遊びを増やしたいんです」

 開発の始まりは、13年1月に参加したプログラマーやエンジニアがチームを組んで技術を競い合う「ハッカソン」だった。初対面のメンバーと話し合ってセンサー認識型のアプリを開発すると、評判になった。

「可能性を感じたんです。アプリでほかの端末を使うという発想がそれまではなかったので、わくわくしたというか」

 産みの苦しみを数カ月味わい、完成した端末には柔らかい名前を付けたくて、ぬいぐるみなどの柔らかさを表すときに使う擬態語の「もふもふ」から取った。普段はおとなしくみんなの輪に入れないような子どもが、一緒に遊ぶようになったという報告を聞くと、心底うれしい。

AERA  2015年8月24日号より抜粋