だが、若手にも言い分はある。20代の常識に照らし合わせれば、上の世代も十分にヘンなのだ。

「また今日も始まったか」

 PR会社勤務の男性(26)は朝から、うんざりしていた。8時に出勤すると、必ず40代前半の男性上司の机の横に立たされ、いつもの説教を受ける。

「ホウレンソウができてない」「昨日の資料は誤字脱字が3カ所もあった」「これだから“ゆとり”は。お前らはぬるい」

 最後は、こうレッテルを貼って終わるのが定番だ。この上司の説教は最低30分間続く。「何のために早く出社したのかわからない」と男性は嘆く。職場はフレックスタイム制。コアタイムは10時からだが、9時55分に行こうものなら、上司は激怒するので8時に出社している。だが、その上司は、なんと毎日朝6時に出社していた。

「上の世代は流儀を重視して、自分ルールを押し付けてくる」と男性は分析する。ほかにも、資料作りは4回以上やり直しが普通。どこが悪いかも言わず突き返され、3、4回目でようやく指示がくる。

 必要以上に早い出勤も、繰り返される資料の突き返しも、本質的にいい仕事のための行為というよりは、その「努力」や「根性」にこそこだわっている気がする。男性からすれば、「効率が悪すぎるだろ」と思う。

 今の20代はコンサルタントなど頭を使って稼ぐ職業が人気で、ビジネス本を読んできた世代。アラフォー上司の「根性」や「滅私奉公」など、非効率以外の何物でもない。

AERA  2015年8月31日号より抜粋