電力を自給自足の夫婦「おひさま調理」も採用

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佐藤家の電気をつくり出す独立電源システムの蓄電池など(撮影/岡田晃奈)
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佐藤家の電気をつくり出す独立電源シス...

 東日本大震災以降、値上がりした電気代。なんとかエネルギー消費を節約したいが、どうすればいいかは悩みどころだ。そんななか、電力を自給自足する“神”の節約法を実践する夫婦がいた。

 電力会社の送電網につながっていない、電力の自給自足生活を送る夫婦がいると聞き、自宅を訪ねた。横浜市に住む佐藤隆哉さん(34)、千佳さん(32)夫妻。昨年9月からこの「オフグリッド」な暮らしを始めた。

 最寄り駅から車で10分ほどの自宅は、シンプルモダンな2階建ての一軒家。輸入家具のショールームかしら、と思うほど、家具も照明も細部にわたりセンスがいい。エアコンで快適に保たれた室内に、汗っかきな記者は救われた。う~ん、「自給自足のエコな暮らし=山の上のほったて小屋」と想像するのは、昭和の考えであった。

 聞けば、冷蔵庫、エアコン、掃除機、アイロン、ドライヤーなど、一般家庭と同じように、家電も使って生活しているという。千佳さんは言う。

「せっかく太陽がつくってくれた電気を使わないのは、ごはんを食べ残すのと一緒ですから」

 東日本大震災をきっかけに、電気の使い方に疑問を持つようになった。マンション暮らしで電力会社の電気を使っていたときは、罪悪感から無理な節電もしていた。しかし、今は気持ちが楽になって、積極的に家電を使うようになった。

 佐藤さん宅の独立電源システムは、屋根につけた太陽光パネルで発電し、それを蓄電池にため、インバーターを通して家電に送る、実にシンプルな仕組みだ。4人家族の1日の平均消費電力量は10キロワット時(kWh)といわれるが、佐藤家の発電量は1日平均7kWh、消費電力は3kWh。来客時以外はエアコンをつけずに扇風機で過ごしたり、プラグはこまめに抜いたりと、電気を大切に使う工夫はしているが、基本的な生活に不自由はない。

 システムの値段は、施工費込みで計220万円。フォークリフトで使われていたバッテリーを蓄電池として再利用することで費用を抑えられたそうだが、決して安い買い物ではない。ただ、お金は何かを生み出すものに使いたい、という隆哉さんの思いもあり、決断した。

 始めた当初は、不安からろうそくを大量に買い込んだ。発電量はお天道様のご機嫌次第だからだ。太陽の角度が低く、パネルに光が当たりづらい冬は注意が必要だ。寒さに耐え切れず、電気ストーブを8時間使った日に、蓄電量が50%を下回ったときはヒヤリとした。が、それ以外は全く問題なかったという。曇天や梅雨時期も十分に発電。その上、雨はパネルについたほこりを洗い流してくれるから、より光を集めやすくなる。

 今のお気に入りは、太陽光で調理する「ソーラークッカー」。お湯を沸かせば、甘くてまろやか。トマト、カボチャ、タマネギ、ホウレン草に塩をひと振りして、30分放っておけば、ラタトゥイユの出来上がり。味見させてもらうと、味が凝縮されていて美味。肉も魚もジューシーに仕上がる。「おひさま調理」の結果、毎月のガス代は約5千円から3千円に大幅ダウンした。

「資源は有限だということが身にしみて分かりました。同時に、自立する心地よさと楽しさを知ったので、今後はガスや水など、すべて自立を目指します」と隆哉さん。

AERA 2015年8月24日号より抜粋

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